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2009年04月21日
二人の息子 「北の国から」より
もう一人の息子は、何となく生きていた。
話せるようなことは、何もしてなかった。
あれから一人でアパートを借り
2年間に2回仕事を変え、
やっと、東京にもドキドキしなくなった。
ドキドキすることが少なくなった分
毎日は意味なくダラダラと流れた。
みんなは、ボクのことを「ダル」って呼んだ。
年中だるそうに喋るからだそうだ。
ボクの毎日は、
仕事をして帰る
ただその単調な繰り返しだった。
別に、それ以上面白くなかった。
でも、その単調さを受け入れることが
東京人の資格である気がした。
わずかな楽しみは、れいちゃんとのデートだった。
れいちゃんとは、毎週土曜日の8時
一緒に映画を観ることに決めてた。
一緒に観るったって、映画館でじゃない。
何しろこっちは東京にいるんだし。
向こうは海の向こう、札幌にいるんだ。
つまり、ボクらは札幌と東京で
同じ時間に、同じ映画を観て
いわば感動を共有しあうってわけだ。
でも、新作は難しかった。
貸出中が多いからだ。
だからボクらは人の観ないような
古い名作を選ぶことにしてた。
それだと、たいがい同じものが借りられた。
映画が終わると、食事をしながら
ボクらはくだらないお喋りをする。
オードリー・ヘップバーンは綺麗だったとか
グレゴリー・ペックはアラバマ物語の方がよかったとか
まぁ、そんな風な、どってことない話だ。
でも、そうすると、何となく二人で
デートしてるみたいな気になれたんだ。
れいちゃんはそれで満足みたいだった。
だけど、ボクの方は正直言うと
そのデートにもそろそろ飽きが来てたんだ。
何たって、そばに相手がいないんだし
それに電話代もばかにならないし…
(「北の国から '92巣立ち」より)
投稿者 mediaholic : 2009年04月21日 01:50