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2009年08月31日
夏フェスのジレンマ
今年は、これまででまで一番多くフェスに通った。
せっかくなので、感じたことをとりとめなく書いてみる。
「CDが売れない」と言われるこのご時世、
フェスといわれる音楽イベントは、
「乱立」という言葉がふさわしく、
バブルの時代を迎えている。
各会場に行くと、他フェスのグッツを
身につけている人が本当に多くてビックリする。
そこそこの値段がするチケット代、
さらに誤解を恐れず言えば、
音楽的には絶好のロケーションである「僻地」までの交通費など
最低限のアゴアシ代を含めると1本につき5万、
2~3本掛け持ちすると、一人当たり10万単位の金を落とすことになる。
さらに、参加するとよくわかるが、野外フェスを興行するのは、
何もない土地に一夜限りの「自治体」を作るようなもので
土地の区画整備から、交通、宿泊、食事、トイレ、ゴミ処理など
最低限の生活インフラを整備することになり、
とんでもないカネと利権が生まれる。
最近は「夏フェススタイル」とか言って、
アパレル業界やアウトドアメーカーも商品を売り込むようになった。
「バブル」と叩かれても、まぁしょうがない。
興行自体はというと、
乱立によって来場者の奪い合いが始まり、
競争が激化してきているようにも見える。
ソールドアウトをチラつかせ、早割だの先行特典だので
半年以上も前からチケットを買わせる。
結果、イベント直前になると、
mixiのコミュニティには、半額以下のチケットが溢れている。
今年は明らかに、その投稿量がハンパなく、
数年前までチケットが手に入らず苦い思いをしていた小生にとっては、
「バブル」を肌で感じるほどの衝撃だった。
どの会場も、客を増やすために必死。
出演アーティストが客数に直結するのは
言うまでもなく、
手っ取り早い方法は二つ、
・主演アーティストの頭数を増やす
・確実に数の確保できるビックネームをブッキング
前者に関しては、ROCK IN JAPANが代表格だと思う。
ステージ数も1ステージあたりの頭数も、とにかく多い。
結果、1組あたりの尺が短くなる。
1組だけがお目当ての、熱狂的なファンにとっては
とても残念なパフォーマンスが待っている。
対照的だったのが、今年のRISING SUN。
初日の開演時間を深夜まで伸ばし、
1組あたりの尺を極端に増やした。
マニアックな小生の視点で言うと、RISINGの圧勝。
でも、あえてカネの話をすればJAPANの圧勝だろう、だぶん。
後者に関しては、今年で言うと
ちょうど新作プロモーションの時期だった矢沢永吉さんがap bankやJAPANに、
開局20周年の冠がついたSPACE SHOWER のSWEET LOVE SHOWERには
桑田佳祐さん(Key.の原さんやDr.の松田さんもいたので実質サザン)が出演した。
ビックになればなるほど、確実に結果が得られる。
数年前までフェスの客層は、視聴率分類で言えば、
T/F1/M1が圧倒的に多かったが、
明らかに、C/F2/M2が目立つようになり、最近はF3/M3も結構いる。
「家族でフェス」という姿が当たり前になった。
これは、明らかにビックネーム出演の効果だと思う。
しかし、熱狂的なご年配のファン、
いわゆる「追っかけ」さんたちが問題となっている。
フェスのステージは、基本的に出入り自由、
気力と体力さえあれば、最前列でアーティストを拝める。
そのためモッシュピットと呼ばれる最前列の中央周辺は
モッシュという名の押し合いへし合い、ダイブ、ペットボトルの水撒きなどで
そりゃ、まぁエライことになる。
それが独特の盛り上がりで、フェスの魅力でもある。
ご年配の追っかけさんたちも、そこに挑戦することになるのだが
これがなかなか馴染めずに、ちょっとしたトラブルもよく見かける。
大トリをつとめる大物のために、
何組も前から最前列を牛耳るオジ様やオバ様たちがいる。
そのご年配たちが若手バンドのパフォーマンスで
モッシュやダイブなど、キッズたちの圧倒的な「熱」と衝突してしまうのだ。
現に、ROCK IN JAPANでは、重傷者が出たらしく
「ダイブ禁止」というルールが設けられ、
ネット上で結構激しい議論になっている。
キッズと呼ばれる若者たちが、
おそらくそんなに好きでもないだろう大物に対して暖かい声援を送り
奇跡のパフォーマンスを演出するのに対して、
ご年配の方たちの若手アーティストに対する態度は、
それに比べて非常に冷たい。
野外、ぶっつけ本番、大勢の客・・・
慣れない環境で緊張しているだろう若手のパフォーマンスの最前列で
棒立ちで無表情でいるオジ様やオバ様たち。
そういう人に限って、大物狙いだと一目でわかる格好をしているから
これまた非常にタチが悪い。
正直、一組のアーティストを楽しみたいなら、
ワンマンライブをおすすめしたい。
パフォーマンス的に言えば、フェスは非常に劣悪な環境だ。
リハはやってないし、照明や特殊効果などの演出もそんなに凝れない。
サウンドチェックなどの音作りも限られた時間で行われる。
ステージにお金をかけられる大物になればなるほど、
パフォーマンスの格差は大きく、ワンマンを見慣れている熱狂的なファンほど
フェスでのパフォーマンスにがっかりすると思う。
知らないアーティストとの出会いだったり、
立地や天気や他のお客さんも含めた会場の空気感を味わう
若者たちの方が、フェスの楽しみ方をよくわかっている。
普段は偉そうにしている大人たちの方がタチが悪い
というこの構図が、
歳はくってもなかなか大人になれない小生にはとても笑える。
フェスなるものが日本で始まって、およそ10年あまり。
「バブル」と騒がれる一方で、歪みが見え始めてきた。
個人的には、
バブルがはじけて市場やノウハウがもう少し熟成したら
地域活性の手段に、本気で使えるんじゃないかと思う。
それまで、もうちょっとの間、静観といったところか。
投稿者 mediaholic : 2009年08月31日 22:04