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2009年04月13日
純と正吉の別れ 「北の国から」より
ショックだった。
正吉が、
明日、いなくなる。
でも、それ以上にショックだったのは
いま父さんが言った一言だった。
「みんな正吉だな。
悪いのは、みんな正吉だな」
正吉はそれから15分くらいして
黙って入ってきて2階へ上がった。
正吉は少し泣いたみたいだった。
ボクは正吉に何か言おうと思い、
だけど、結局、何も言えず。
翌日はカラリと晴れ上がった。
朝から正吉は何も口をきかず
凄い勢いで部屋を掃除した。
ボクは正吉と何とか話そうと
うろうろチャンスをうかがっていた。
でも正吉は全く物言わず
凄い勢いで片付けを続けており、
それは、見ようによっては
母さんの所に帰れるので
内心嬉しくてたまらないようにも思われ
結局そうやって口を聞けぬまま
出発時間が来てしまったわけで。
正吉「あばよ」
純 「あばよ」
正吉「やっと富良野から逃げ出せるぜ」
純 「やっと富良野が静かになるぜ」
正吉「あの馬鹿によろしくな」
純 「誰だ、あの馬鹿って」
正吉「努の野郎よ。
アイツ見てたら昔のお前思い出したぜ。
こっち来た頃のもやしっ子みてぇな、
弱虫のくせに生意気で、最悪だったよな。
アイツと本当によく似てたぜ」
純 「じゃあ、いまのオレはどうなんだよ」
正吉「敵いませんよ、頭よくって。
まぁ、死なないで生きててくださいよ」
純 「オタクも、しっかり生きててくださいよ」
涙が、鼻のずっと奥の方で
コップの水みたく、
ゆらゆら揺れていた。
正吉のおばさんが悲しかった。
正吉が、すごく悲しかった。
父さんが、蛍が、
努くんまで、
全部、悲しかった。
正吉に言われたさっきの一言が
ボクの心に、悲しく残っていた。
「アイツ見てたら思い出したぜ。
昔の、こっち来た頃のお前を」
(「北の国から '84夏」より)
投稿者 mediaholic : 2009年04月13日 01:27